地方の転職は求人数が少なく、自力で探すのはなかなか難しいもの。この記事を読んでいる人の中には、「履歴書の書き方がわからない」「地方での転職はどう進めればいいんだろう」と不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
結論、地方在住の人・これから移住を考えている人が転職するなら、転職エージェントの活用がおすすめです。
特に転職が初めての方・右も左もわからないという方には、転職エージェントはとても強い味方になります。
とはいっても、転職エージェントを信頼しきって活動を進めるのは、少し危険なことも。
これから紹介する注意点や活用方法を知らないままでは、自分のキャリアを棒に振ってしまうかもしれません。
そこでこのページでは、元大手転職エージェント出身の私が、転職エージェントを上手く活用する方法や、地方就職に強いおすすめのをエージェントを紹介します。実際に転職エージェントを利用してみた感想も紹介しているので、「地方での転職を考えている」「移住もキャリアもあきらめたくない」という方は、ぜひ参考にしてください。
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転職エージェントの選び方と活用方法
地方で就職する場合、どんな転職エージェントを選ぶべきなのでしょうか。まずはじめに、過去に大手転職エージェントに勤めていた私が、業界の裏事情を踏まえた転職エージェントの選び方を紹介していきます。
地方転職をするなら大手転職エージェントと地域密着型の併用がおすすめ
転職エージェントを選ぶときに重要なのは、自分が希望する求人を紹介してもらえるかどうかです。そこでおすすめなのが、大手の転職エージェントと地方就職に強い特化型転職エージェントを併用すること。
なぜ併用するのがおすすめなのかを解説する前に、転職エージェントのビジネスモデルについて、少し説明しますね。実は、これを知っているかどうかで、今後の動き方が大きく変わります。転職系のメディアではなかなか表にでていない情報なので、賢く転職をするためにもぜひご一読ください。
なお、既にご存じの方は、ここをクリックすると、次の項目までジャンプします。
転職エージェントのビジネスモデル
転職エージェントは、転職を希望する人から一切費用はもらいません。登録から面談・選考対策まで、全て無料でサービスを利用することができます。しかし、これではビジネスとして成り立ちませんよね。
では、どこからお金が発生しているのでしょうか。実は、求人を募集している企業側が、採用が成功したタイミングで転職エージェントに費用(業界では"紹介フィー"という言い方をします)を払っているんです。
では、どれくらい費用を支払うの?という点ですが、大手転職エージェントの場合、理論年収の30%程度が相場です。
理論年収とは、新しい年度の初めからその年度末まで在籍した場合の年収のこと。月次給与や残業代、想定される賞与から算出される金額です。
例えば理論年収500万円の人の採用が成功した場合、採用に成功した企業は500万円×30%=150万円を紹介フィーとして転職エージェントに支払うことになります。
ちなみに、リクナビ・マイナビなどの転職サイトは、求人を載せるのに費用がかかる仕組みで、転職エージェントより採用コストを抑えられるメリットがあります。
「採用をしたい」と考える企業は、自分たちの状況に合わせて、転職サイトや転職エージェントを使い分けているということです。(もちろん、両方使っている場合もありますよ)
転職エージェントのビジネスモデルがわかったところで、なぜ大手転職エージェントと地方特化型の併用がおすすめなのか、その理由を詳しく解説していきます。
大手転職エージェントを活用するメリット・デメリット
まず大手転職エージェントを活用するメリット・デメリットについて見ていきましょう。大手転職エージェントの大きなメリットは、求人数が多いということがあります。
地方を含む全国に求人があり、お住まいの地域の求人も見つかりやすいでしょう。
一方、デメリットとして挙げられるのは、書類選考が通過しにくいという点です。
その背景には、大手転職エージェントの紹介フィーが高い傾向にあること、または地方企業ならではの人のつながりを大切にする風土と大手転職エージェントの機械的なサポートとの相性が悪いことがあります。
紹介フィーについては、先ほど紹介した通り理論年収の30%程度を支払う仕組みになっています。つまり年収500万円なら、150万円もの大金を支払わなくてはなりません。かなり大きな額ということもあり、「これだけ費用を払うなら、もっと良い人を採用したい」という心理が働いてしまうのも理解できるのではないでしょうか。
また、大手転職エージェントは値引きなどの融通も利きにくく、紹介方法も機械的な傾向があります。「大手転職エージェントは希望とずれた人を紹介してくる」という声もよく聞くほど。
このような理由から、費用も比較的抑えられて親身に相談に乗ってくれる地方特化型の転職エージェントにだけ、求人を載せているという地方企業も少なくありません。
地方特化型の転職エージェントを活用するメリット・デメリット
大手転職エージェントは、求人数が多いものの、一部の地方企業にとってはあまり相性が良くないとお伝えしてきました。そこで活用すべきが、地方特化型の転職エージェントです。
求人数は大手転職エージェントと比較して少ないものの、地方との繋がりが強く、他の転職エージェントではない求人を取り扱っている場合があります。
またその地域に詳しい方が担当になってくれることもあり、求人を紹介してもらえる以外にも、地方就職におけるメリットがあります。
また、大手転職エージェントと比較して、担当者のサポートが手厚い傾向にあり、初めて地方で転職をするという方にも安心です。
担当アドバイザーとの相性が大切
転職エージェントで転職活動を進める場合、担当アドバイザーが付き、二人三脚で転職活動を進めていくことになります。
キャリアの方向性や転職活動の進め方など、担当アドバイザーと相談しながら進めることになるので、この相性が何よりも大切です。
面談をした中で「アドバイザーの知識が足りない」と感じたり、「相性が合わない」と感じた場合は、遠慮なく担当変更を申し出ましょう。
地方就職に強い!おすすめ転職エージェント9選
では、地方就職する上でおすすめのエージェントを紹介していきます。総合おすすめランキングと地方特化型おすすめエージェントの2つに分けて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
転職エージェント総合おすすめランキング
1位:リクルートエージェント(求人数:227,204件/2022年3月1日現在)
おすすめポイント ・地方でも圧倒的な求人数
・履歴書の自動作成機能など、使いやすいマイページ
リクルートエージェンとは、業界最大手の転職エージェント。大手ならではの求人数の多さが魅力です。
また、履歴書や職務経歴書が自動で作れる機能があるなど、マイページが充実。マイページ上で求人の確認ができるので、好きな時にマイぺージ上で求人を検索できるので使いやすいです。
【実際に面談を受けた感想・口コミ】
電話での面談で、所要時間は20分程度。担当アドバイザーの方は、転職理由や希望条件を淡々と聞くのみで、親身に相談に乗ってもらっているようには感じませんでした。しかし、やはりさすが最大手。求人情報は他のエージェントよりも多く、幅広く求人を見たいという人にはメリットが大きいと感じました。
2位:パソナキャリア(求人数:39,661件/2022年3月1日現在)
おすすめポイント ・親身なサポートが魅力
・希望に近い求人をピンポイントで送ってくれる
パソナキャリアは、大手の転職エージェントの中でも、比較的親身に相談に乗ってくれる企業です。実は、筆者は以前このパソナキャリアに勤めていました。求人数自体はあまり多くないものの、「担当アドバイザーと二人三脚で進めたい」という方にはパソナキャリアがおすすめ。
担当アドバイザーがしっかりと目を通した上でマッチした求人を送ってくれるので、「大量の求人で全て見切れない」という心配もいりません。
3位:JACリクルートメント(求人数:公開なし/2022年3月1日現在)
おすすめポイント ・外資系やハイキャリア求人が多い
JACリクルートメントは、30代以降のハイキャリア向けや外資系企業の求人を多く取り扱う転職エージェントです。地方求人は少ない印象ですが、マネジメント経験がある方・役員クラスの求人をお探しの方は、一度登録してみることをおすすめします。
4位:DODAエージェント(求人数:125,922件/2022年3月1日現在)
おすすめポイント ・求人数は約10万件。リクルートに次ぐ多さ
・LINEで担当アドバイザーとやりとりできる
DODAエージェントは、リクルートエージェンとに次ぐ求人数の多さが魅力です。独占求人も抱えており、他のエージェントでは紹介されない求人も一部あります。求人の幅を広げるという意味で、登録するのもありでしょう。
【実際に面談を受けた感想・口コミ】
電話での面談で、所要時間は30分程度。担当アドバイザーの方は、転職理由や希望条件を丁寧に聞いてくれ、こちらの考えを理解しようとしてくれました。紹介してくれる求人もリクルートエージェントとあまり差はないように感じます。しかし、キャリアとずれた求人を送ってくることもしばしば。おそらく職種については深い理解はしていないという印象でした。
5位:マイナビ転職(求人数:公開なし/2022年3月1日現在)
おすすめポイント ・新卒採用ノウハウを生かした転職支援
・20代の転職におすすめ
マイナビ転職は、新卒の就職で知名度の高いマイナビが運営する転職エージェントです。求人数自体は多くありませんが、新卒採用で培ったノウハウがあるからか、若年層から人気の転職エージェントです。
リクルートエージェンとほどではありませんが、地方求人も数多くあるので、求人の幅を広げたいという人におすすめです。
6位:ワークポート(求人数:公開なし/2022年3月1日現在)
おすすめポイント ・IT系求人に強みがある
ワークポートはもともとIT系専門職特化型の人材紹介会社として、発足しました。現在は業界・職種ともに幅広く求人がありますが、その名残か、IT系求人の割合が高い印象ががあります。
地方特化型おすすめ転職エージェント
リージョナルキャリア(regionalcareer)
30代からの地方転職をサポートするリージョナルキャリアは、扱う求人の半分が年収600万円以上のハイキャリア向け地方特化型転職エージェントです。全国26拠点を展開し、各地域に密着した転職支援・キャリア支援を行っています。
- 対象地域:北海道、宮城、茨城、栃木、群馬、東京、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知三重大阪岡山広島徳島香川愛媛福岡熊本大分沖縄
ヒューレックス(HULEX)
ヒューレックスは、全国の地方求人を多く取りそろえる転職エージェント。地域に10年以上密着してきたことにより得た、地元との繋がりがあり、中でも仙台・宮城県に特化した求人を多く扱っています。
クリエアナブキ
クリエアナブキは、中国・四国地方を中心に展開する転職エージェントです。2021年4月には創立35周年を迎えており、長い間地域に密着していることがわかります。
- 対象地域:香川県、愛媛県、徳島県、高知県、広島県、岡山県
当てはまったら他の方法を考えて!転職エージェントが向いていない人
ここまで、地方在住の人・これから移住を考えている人向けに転職エージェントの活用方法や、おすすめの転職エージェントについて紹介してきました。しかし、実は、転職エージェントの利用がおすすめできない人も一部存在します。
次に当てはまる場合、他の転職サービスを利用した方が、効率よく転職が進むかもしれません。
転職経験が多い・キャリアに一貫性がない場合
冒頭で解説したビジネスモデルで紹介したように、転職エージェントは無料で利用することができ、採用したい企業が紹介フィーを支払う仕組みになっています。他の採用方法よりもコストが高く、エージェントを利用して採用する場合は、採用基準が高くなる傾向にあります。
そのため、転職回数が多かったりキャリアに一貫性がない場合は、そもそも転職サポートサービスが使えないこともあるんです。"転職回数が多い"とは具体的にどれくらいのことなのか、目安を以下の通り。
- 20代:3社以上(次で4社目)
- 30代:4社以上(次で5社目)
「今の時代に転職回数を気にするの・・・?」と思われる方もいるかもしれませんが、まだまだ日本では古い考えの企業がたくさんあります。
また、人気企業はどうしても応募数が多くなるため、「転職回数が〇回以上の人は書類選考しない」という基準を設ける場合もあるほど。
なお、上記の転職回数はあくまでも目安です。IT系職種やWeb業界などは、比較的社数に対して寛容なところが多い印象です。
一方、社数が少なくても働いてない期間が長い方や、直近連続して短期間での離職(例えば1年以内の離職を2回以上)をしている場合、求人を紹介してもらえない可能性もあります。この場合、これまでのキャリアを変えることはできませんから、この場合は他のエージェントに登録してみたり、転職サイトやハローワークでの活動も進めてみましょう。
年齢が高い場合
40代半ば以降になると転職自体もかなり厳しくなります。よほどキャリアがマッチしている場合や、役員クラスなどのハイキャリアでない場合、エージェントを利用した転職活動は難しいと考えましょう。
精神障害などがある・休職期間がある
精神疾患などで休職期間がある場合にも、転職エージェントを活用した転職は難しい傾向にあります。また、完治していても、書類選考がなかなか通らないのが実情です。
この場合、転職エージェントを利用せずに転職サイトやハローワークを活用することをおすすめします。
まとめ
最後に、ここまでの内容をおさらいします。
地方への転職を成功させるためのエージェントの選び方
・大手転職エージェントと地方特化型の併用がおすすめ
・担当アドバイザーとの相性は大切。合わないと思ったら担当変更を。
おすすめの転職エージェント
・リクルートエージェント:求人数No,1
・リージョナルキャリア:地方に強い転職エージェント
地方は求人数が少なく、また移住を伴う場合は現地に出向く必要があるなど、かなり大変な思いをすることもあるかと思います。転職エージェントを上手く活用して、地方での転職を成功させてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
よくある質問
・退職願・辞表はいつ提出しますか?
就職先に内定承諾の旨を伝えたのち、数日以内で提出して退職交渉を進めましょう。
なお、「移住を伴うから、先に辞めてしまおう」と考える人もいるかもしれませんが、精神的な負担から焦って転職先を決めてしまうことにも繋がります。よほど忙しくて時間がとれない、などの理由がなければ、極力在職のまま転職活動をすることをおすすめします。
・地方での転職活動は、何から始めればいいですか
地方での転職活動も、基本的に一般的な転職活動と流れは変わりません。まずは担当アドバイザーにしっかりと自分のキャリアを理解してもらうために、履歴書や職務経歴書を作成しておきましょう。書き方がわからない場合でも、担当アドバイザーに相談すれば大丈夫。
・地方の求人が多い転職エージェントはどこですか
リクルートエージェント、DODAエージェントの求人が圧倒的に多いです。まずはこれらの大手転職エージェントに登録し、地方特化型転職エージェントも併用することで、もれなく求人を紹介してもらえるようにするとよいでしょう。
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