この記事では、地方移住者に対する支援制度の概要と、各自治体が運営している地方移住支援サイトをまとめています。
移住支援は国が実施しているものや各自治体が実施しているものがあり、それぞれ内容や条件が異なります。
また、併用できる場合とそうではない場合があるため、どの制度を活用するのかしっかりと見極めることが大切です。
数十万円~数百万円の助成金がもらえる可能性があるため、地方移住支援制度の概要をしっかりチェックして、申請に生かしてください。
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地方移住をサポートしてくれる制度”移住支援制度”とは?
移住支援制度とは、国や地方自治体が展開する都市部から地方への移住を支援する制度のこと。東京圏への人口一極集中の改善、および地方での産業の担い手・後継者不足の解消を目的に、国と地方自治体それぞれが経済的な支援を中心に展開しています。
どんな支援がある?
移住支援制度には、国が行っているものと各自治体が行っているものがあります。
それぞれどのような制度があるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
国が行っている移住支援制度
国が行っている移住支援制度として代表的なものは、移住支援金と起業支援金の支給です。
移住支援金とは、東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外(※1)へ移住し、起業や就業等を行う人に、都道府県・市町村が共同で助成金を支給するもので、現在一都三県を除く多くの地域が実施しています。
交付される支援金は最大100万円(単身者は60万円)です。
(※1)以下の「一都三県の条件不利地域の市町村」も含む。 ・東京都:檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村
・埼玉県:秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、小鹿野町、東秩父村、神川町
・千葉県:館山市、旭市、勝浦市、鴨川市、富津市、いすみ市、南房総市、東庄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
・神奈川県:山北町、真鶴町、清川村
起業支援金は、地域の課題を解決することを目的に起業をした人、最大200万円の助成金が支給される制度。
移住支援金と同様、一都三県を除く多くの地域が実施しています。
自治体が行っている移住支援制度
自治体が各自で行っている移住支援制度には、様々なものがあります。例として、具体的な支援内容をいくつか見てみましょう。
支援制度 |
内容 |
実施自治体例 |
結婚祝金 |
結婚した夫婦へ金券や現金の給付 |
長野県泰阜村、北海道浜中町など |
住居に関する 支援 |
空き家や中古住宅を購入しリフォームを行った場合の資金を一部補助 新築物件購入時の資金を一部補助 条件をクリアした場合、土地や家をもらえる等 |
多くの地方自治体で実施 |
就農支援制度 |
農業の体験~就農までのサポート(給付金など) |
島根県飯南町、鳥取県境港市、北海道の各自治体など |
各自治体が行っている移住支援制度には、上記のようなものがあります。多くの自治体では年齢などの条件があるため、気になる自治体がある人は、公式サイトで詳細を確認してください。
申請の手順や必要書類
各自治体の地方移住支援サイトについてはこのあと紹介しますが、申請にはどのようなものが必要で、どのようなスケジュールで進めればよいのでしょうか。ここでは、国が実施している移住支援金の申請手順を例として紹介します。
【この項目の内容をざっくりまとめると…】 ・申請期限内に申請すること!
移住支援金の申請期限は転入後3か月以上1年以内。
・移住元と現住所の住民票が必要!
・申請先は、各市町村の自治体!
申請手順や期限
移住支援金の申請は、必要書類を全て準備してから、転入後3ヶ月以上1年以内に行う必要があります。転入日とは引っ越し日ではなく、転入届の”異動日”に記入した日付です。わからない場合は、各役所の窓口で確認できます。
必要書類は各自治体により異なりますが、主に次のものが必要です。
移住支援金の必要書類
- 移住支援補助金交付申請書
- 各証明書(テレワークや就業を証明する書類)
- 住民票の写し(世帯全員分)
- 移住元の住民票の除票の写し(世帯全員分)
- 移住元における最近1か年の市区町村税の滞納のないことを証する書類
移住支援金の申請に必要なのは、主に上記の書類です。上記の書類を準備して、移住先の担当窓口に申請を行います。
移住支援金の注意点~返金可能性について~
移住支援金は、長期移住を前提とした助成金です。5年未満で転出をした場合、返金が必要になるため注意しましょう。
- 3年未満で転出した場合は全額返金
- 3年以上5年未満で転出した場合は半額返金
地方移住希望者向けの公式情報サイト【全43道府県まとめ】
関東(一都三県)を除く、各自治体の地方移住希望者向けの公式サイトを地域別にまとめています。
地方への転職・仕事探しのコツ
地方移住を考えた時に、「仕事はあるの?」と不安な人も多いのではないでしょうか。ここでは地方移住を考えている人に、転職や仕事探しのコツについて紹介します。
基本の考え方~転職先が決まってから退職する~
転職時の基本は、仕事が決まってから現職を退職するという点です。地方移住は引っ越しも必要になるため、”退職して引っ越してから就職しよう”と考える人もいるかもしれませんが、これはおすすめできません。
転職は求人のタイミングによってスムーズに決まらない場合があります。そうなると、収入がないことで精神的に不安定な状態になり、本来の希望とずれた企業に就職をしてしまう人もいるからです。
特に地方は首都圏と比較して求人が少ない傾向にあるため、余裕を持って転職活動をするためにもこの点は押さえておきましょう。今はオンラインでの面接も普及しており、交通費・宿泊費などの費用面の負担も比較的少なくてすみます。
転職サポート会社(エージェント)の活用がおすすめ
地方移住をする人が転職をするときは、転職エージェント(転職支援会社)の活用がおすすめです。
転職エージェントとは、求人の紹介や転職活動の全般をサポートしてくれる企業のことで、求職者は全て無料で利用することができます。
先ほどお伝えしたように、地方は首都圏と比較して求人数が少なく、自分一人で求人を探すのは大変です。転職エージェントにしか求人を公開していない企業もあるため、効率よく求人を探すためにも2~3社登録しておくことをおすすめします。
転職エージェントでは求人の紹介以外にも書類の作り方や面接のコツといった、基本的なことからサポートしてくれるので、初めての転職でも安心。コロナ禍ではオンラインでのサポートが主流になっているので、現在住んでいる場所に限らずサポートを受けられますよ。
地方にはどんな仕事がある?
では、地方では具体的にどんな仕事があるのでしょうか。各地域に密着した企業に就職する以外にも、次のような仕事もあります。
地域おこし協力隊
地域おこし協力隊とは、過疎や高齢化を問題として抱える地域で地域協力活動をしてもらうことで、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした支援制度です。
基本的には1年間の任期が存在する仕事で、地域によっては更新できる場合もあります。女性や20~30代の若者が多い仕事です。
具体的な仕事内容は... 農業管理や指導、普及活動。
伝統食文化や特産品の製造や販売。
地場産品の販売や地産地消の推進。
水源地の整備や道路の清掃。
高齢者の見守りサービスや通院・買い物時の移動サポート
地域おこしの支援(観光や移住の促進等)
農業・農家への就職
農業は、北海道や東北、中部地方など、農産物の生産が豊富な地域で随時募集されている仕事です。
正社員での就職になるため、収入が安定しやすいメリットがあります。
ただし、農業は体力勝負の仕事。収入の安定だけを目的にしてしまうとなかなか続けるのが難しいことも。しっかしと考えた上で、決断してください。
起業する
古民家カフェの開業や、地域課題の解決を目的として企業をされる人もいます。移住支援制度の中には、中古物件の改修費用の助成金、起業支援金の支給もあるため、これを活用すれば開業費用の負担を軽減できるかもしれません。
首都圏の企業にテレワークで就業する
首都圏の企業では、テレワークを推進し、出社義務のないところも増えてきています。そういった企業に就業すれば、移住先にとらわれず、自由に働くことが可能です。
地方移住の仕事についてより詳しく知りたい方は、別記事「地方移住者の仕事4パターンと求人の探し方」をご覧ください。
地方移住の支援制度まとめ
地方移住を考えている方に、支援制度について紹介してきました。最後に、ここまでの内容をまとめます。
移住支援制度とは
地方移住をした人に対して、助成金などを支給する制度で、国が行っているものと、各自治体が行っているものに分けられます。国が行っているものは、主に首都圏在住の人を対象としたもので、最大100万円の助成金をもらうことができます。
移住支援制度の申請方法や流れ
必要書類を準備し、転入先の自治体に申請します。なお、申請は転入後3ヶ月以上1年以内に申請する必要があるため注意しましょう。
以上がこの記事のまとめです。各自治体の公式サイトでは、求人情報や各地域の暮らしに関する情報を随時発信しています。気になる地域があれば、ぜひ各サイトをチェックしてよりイメージを膨らましてください。
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